西岡 裕美さん

略歴

1999年 京都産業大学外国語学部英米語学科卒業
(1996年-1997年 ニュージーランドのMassey大学に交換留学)
2000年 アークアカデミー日本語教師養成講座420時間修了 日本語教育能力試験 合格
2000年—2007年まで韓国、台湾の日本語学校で勤務
2008年 Monash University 応用日本語言語学 修士TAとして日本語を教えながら、応用日本語言語学を学ぶ
2009年—釜山情報大学 観光日本語通訳科 (2012年3月より釜山科学技術大学校に改名)専任講師
(2012年2月現在)

http://blog.naver.com/hiromi2000
このブログでは韓国で日本語を学ぶ学生の作品やオンライン授業を公開しています。韓国や日本語教育に関心がある方、ご覧ください。

日本語教師を目指したきっかけ

英米語学科の卒業生、西岡裕美です。英語の教師になったら、自分が大好きな英語が教えられて、ずっと仕事が続けられる。そう思って、英米語学科に入学したんですが、気がついたら日本語教師に。人生って本当に不思議なものだな、と思います。

その転機になったのは、 Massey大学への交換留学でした。 Massey大学はニュージーランドでも日本語教育が盛んな大学で、多くの学生が日本語を学んでいました。将来語学の教師を目指していた私にとっては、新しい外国語教育を学べる絶好のチャンス。そこで、日本語のクラスを見学させていただくことにしたんですが、大ベテランのニュージーランド人のPeter先生の教授法がすごかった!!日本語独特の表現の中に、”私はうなぎ”がありますが、直接訳したら、”I'm an eal”ですね。こんなジョークでみんなをどっと笑わせたあとに、すかさずPeter先生がこれは英語で言えば、"Speaking of me"ですよ、と解説。Peter先生の見事な授業にすっかりはまった私は日本語教師をめざすことにしたのです。 そして、韓国に興味を持つようになったのも、このクラスで知り合った韓国人の友だちのおかげ。思いがけない出会いがあるのも留学の醍醐味だと思います。 

留学生活

交換留学をする場合、英語を勉強するのではなく現地の人や留学生に混じって英語で専門科目を勉強するので、想像以上に勉強が大変でした。Massey大学の場合、セメスター制度(2学期制)なので、留学生の場合1学期に3科目ぐらい取るんですが、1科目につき講義とチュートリアル(日本でいうゼミ)がセットになっていて週4時間ぐらいの授業があります。チュートリアルでは毎回発表や討論があるので、討論に参加するためには日本のゼミで自分が発表するとき並みの事前リーディングが毎回欠かせません!! 恐ろしいことにそれが各教科ごとに毎週あります。そして、レポートも学期中に1科目につき2つ、自主的に読んだリーディングの文献で見つけた理論を絡めてレポートを書きます。ちなみに、言語習得の宿題では幼児と母親の会話を録音させてもらい、それをスクリプト化し、言語習得の理論と重なる現象を取り出し論じるレポートが出ました。そして極めつけは長文論述テスト。1科目につき3時間ぐらいひたすら論述文を書いた記憶があります。こうなると、テストというより、英語耐久マラソンですね(笑い)。 そんなわけで、留学すると英語で書いたり考える力と、根性が徹底的に鍛えられます!!

語学力以外にも大きな収穫が得られるのが留学生活。私も留学中いろいろな体験をしました。私が留学したのは96年ですが、その当時でもニュージーランドは留学生や移民など多様な背景を持つ人が多く、その出会いの中から得られる学びが大きかったです。当時Massey大学は中国系マレーシア人の留学生がとても多かったのですが、その理由を聞いて驚きました。マレーシアはマレー、インド、中国系、その他多くの少数民族からなる多民族国家ですが、政権を握るマレー系が中国系の強い経済力を抑えるため、中国系の大学進学を厳しく制限しており、国内で進学できずニュージーランドへ来たというのです。また、多くのニュージーランド人は大学で学ぶために、自分の名前でStudent loan(学資ローン)を借り、長期休暇は少しでも学費を稼ぐために必死でアルバイトをし、貪欲に学んでいました。 そんな彼らの姿を見て、政治的な理由で学習機会を奪われることなく、また産業大学からの奨学金と両親からの援助で経済的な不安がない状態で勉学に打ち込めることがどれだけありがたいことか、気づかされました。

最近就職活動の出遅れや慣れない海外生活を恐れ、留学したがらない若者が増えているという報道をよく目にしますが、若い今だからこそ、一人でも多くの人に留学にチャレンジしてしほしいと思います。「人生の質は自分が心地よいと感じる不安定さの量と正比例する」と、ピーターセージが語っていますが、言葉もうまく通じない孤独な環境に敢えて飛び込み、切磋琢磨することで得られる自己成長と人生の充実感は本当に換えがたいものです。大きく成長した自分と仕事への情熱をうまく企業にぶつければ、留学はハンディーどころかものすごく強力な自己PRになります。京都産業大学は提携校も多く、経済的な留学支援も整っているので、ぜひ在学中に留学、海外インターンシップにチャレンジしてください。「留学国際交流 協定校」

京都産業大学での思い出

英語に興味があり英米語学科を受験したわけですが、高校時代、文法と読解中心の入試勉強しかしていなかったため、大学の授業が始まって早々、パニックに陥りました。クラスには私のような受験英語しか分からない人もいるかと思えば、留学経験者や幼児期から英語を学んでいてばりばりのアメリカ英語を話すクラスメートもいて、ネイティブの先生は容赦なく全部英語で授業。英語が全然聞き取れず、授業はちんぷんかんぷん。苦痛で苦痛で、かなり自己嫌悪に陥っていました。そんなある日、同じく英語が話せない同級生と北大路を歩いていると、英語圏の旅行者が話しかけてきました。道を聞かれているのは分かったんですが、botanical garden を知らなかった私たち。Tree, flowerと言われて、ようやく植物園に行きたがっていることに気づいたのです。初めての英語成功体験に勇気付けられながらも、自分の語学力のひどさを改めて痛感し一発奮起した私は、通学の合間と夜、NHKラジオ講座と英語の月刊誌のテープを毎日欠かさず聞くようにし、その結果入学当時はTOEIC405点しかなかった英語力が留学前の大学3年生の終わりには800点を超えるまでになりました。これから京都産業大学を受験しようと思っている受験生のみなさん、受験勉強の傍らNHKラジオ講座、欲を言えばオンライン英会話も受講しておくことをお勧めします。(なかでもぐんぐん英会話は月々9000円で50分勉強できて、いいですよ。http://www.gge.co.jp)音声的な英語もいっしょに学ぶと英語がすっと頭に入り、受験英語の勉強がはかどるばかりでなく、入学後余裕を持ってスタートできますよ。

入学するやいなやいきなり英語の海に放り込まれ、英語でかなり苦戦を強いられていた私ですが、英語力が伸びるにつれ、英語の授業もどんどん楽しくなっていきました。英語で話す度胸をつけなさいという先生の思いやりなのか、観光地に行き、外国人に話しかけて単語を発音してもらってそれを録音し、音声記号で書きなさいという宿題が出て、グループで真夏の清水寺や東本願寺に行って外国人に突撃インタビューをしたり、イギリスのメディアについて学んだり、教授法の授業ではサイレントメソッドでトルコ語を学ぶ体験をしたり、子供のころ読んだガリバー旅行記や当時大ヒットしたマディソン郡の橋を原書で読んだり、ブレイブハートを見ながら映画に埋め込まれている文化的メッセージを読み解いたり、京都のお漬物屋さんにインタビューをして、観光ガイドブックで紹介する記事を書いたりなど興味深い授業が多く、英語で文学や文化を学ぶ喜びに浸っていました。中でも自分たちが書いた記事がガイドブックやDaily Yomiuriに掲載されたことは、本当に勉強の励みになりました。ゼミの先生のお宅にみんなで遊びに行って楽しくおしゃべりをしたり、何時間もかけて先生が作ってくださったターキーをごちそうになったのも懐かしい思い出です。

京都産業大学は就職に強い大学と言われていますが、その強さの秘訣は大学の手厚い就職支援や、盛んなクラブ、サークル活動にあるのではないかと思います。特に、クラブの場合は上下関係が厳しく、また毎日夜遅くまで仲間にもまれて濃厚な時間を過ごすため、社会人として必要なマナーやコミュニケーション力がどんどん磨かれます。私は放送局に所属していましたが、OBがこられるイベントでは何十分も正座して待ったり、先輩のために順正ですき焼きを作ってお酒を勧めたり、花道を作って先輩をお見送りしたり。(まるで、会社の忘年会。一足速く大人の世界に入ったみたいでどきどきしました。)放送する内容やイベントでの企画は夜遅くまで徹底的にみんなで議論しあい、内容を磨き上げていきます。その様子は会社の企画会議さながら。イベントが近くなると、練習と会議の連続で家に帰る暇もなし。先輩が「放送局で生き残れたら、会社で生き残れないはずがない」と豪語されていましたが、擬似社会の環境でもまれにもまれて猛烈社員のような働き方を4年間続ければ、就職ができないはずがないと私も同感です。また、一足先に就職活動されている先輩から就職活動について色々話が聞けたのも、本当にありがたい収穫でした。クラブ、サークルに参加することで、色々な人と出会え、自分の視野を広め、能力を高めることができます。それは、就職活動でも有利に働き、また、一生の財産になります。一人でも多くの学生にクラブやサークルに参加してほしいと思います。

最後に、最近私が感動した言葉を紹介したいと思います。

"We become what we think about....The moment you decide on a goal to work toward, you're immediately a successful person. You're then in that rare and successful category of people who know where they're going. Out of every hundred people, you belong to the top five."

「人は思う通りの人になる。取り組むべき目標を決めた瞬間に、あなたは成功する人間になります。その瞬間に、自分がどこに行くのかを知る、数少ない成功者の群れに加わるのです。 100人のトップ5人に加わるのです。」

望みの人生を引き寄せる秘法、ザ ストレンジエスト シークレット (アール ナイティンゲール)より引用

自分を信じ、自分の夢に向かって絶えず努力を続けてください。
学会でギリス先生と再会したときの一枚
韓国では先生の日があり、その日は学生が集まって先生に感謝をする歌をみんなで歌って、お祝いをしてくれます。この日を迎えるたびに教師になってよかったなと実感します
これは体育祭で変装してパレードをしたときの一枚。ちなみに私の学校ではみんなでご馳走を食べながら、お酒を飲みながら競技観戦をします。すごいカルチャーショック!!
これはMT(オリエンテーション旅行)の一枚。韓国では新入生歓迎の意味をこめて、みんなで1泊2日の旅行をします。夜はスポットライトを浴びながらステージでKARAや少女時代も顔負けのダンスや歌を披露し、その後部屋に戻って朝までお酒を飲みながら語りあかすというとてもハードなイベントです。これで、一気に親睦が深まります。
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