2014年4月 外国語学部が変わります。

LINK THE WORLD〜世界につながる外国語学部〜

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語学をきっかけに、自らの「世界」を広げよう。

歴史、文化、芸術、デザインなど、魅力に富んだイタリアの言語を学ぶ。

マヴィリオおかえり、ケイタ(長井)。約1年間、南イタリアのプーリアに留学してたんだよね。どうだった?

長井イタリアに住みたいと思うほど、好きになりました。特に良かったのは、イタリア人の友達ができたこと。彼らから、教科書どおりのイタリア語ではなく、日常のイタリア語を学べたことが勉強になりました。でも実は、留学した当初は、思ったより言葉が出てこなくて、日本語を一度イタリア語に翻訳してしゃべるから、テンポ良く話せませんでしたし・・・。

マヴィリオでも、ある日、それが変わる瞬間があったでしょ?考える必要がなくなって、すらすらとイタリア語が聞き取れたり、話せたり。

長井はい、3カ月くらいで。

マヴィリオ外国語を学ぶ多くの人が、体験する瞬間ですね。

長井イタリアでは、語学のスキルを徹底的に磨くことが大きな目標でした。留学先に南イタリアのプーリアを選んだのも日本人があまり多くないから。日常生活も、イタリアの環境にどっぷり身を置きたくて、ルームシェアをして3人のイタリア人と住んでいました。最初は言葉が通じないことはもちろん、国民性や習慣の違いもあって大変でしたが、とてもいい経験になりました。

マヴィリオそれは、すごい。イタリア人の私でも、自己主張の強いイタリア人に囲まれて住むことは大変なことです。留学すると、現地の人に感化されてファッションやスタイルだけが変わる学生も多いのですが、ケイタのいいところは、内面が変わったこと。日本人らしさも、イタリア人らしさも備えているのは、とても良いことだと思う。ところで、日本人とイタリア人って、元来、気が合うし、似ていると思わない?

長井そうかもしれません。でも僕が暮らした南イタリアの人は、日本人がイメージする典型的なイタリア人。すごく陽気でしたよ。

マヴィリオそうですね。日本人とイタリア人は真逆な国民性のように思えるけど、実は共感できる点が多い気がします。イタリア人は陽気で大らか。でも、もっと深い部分まで見ると、細やかで、きっちりしている日本人のような一面もある。

マヴィリオ一方で、日本人も奥深くまで知ると、イタリア人と共通する大らかさがあると思いませんか。まだ気づいていないもう半分の「自分」を知るために、異なる国を理解することは意義があることです。

長井確かに。どちらかというと内向的な僕でしたが、イタリアの明るい部分に魅かれましたから。

マヴィリオ留学で、もう半分の「自分」を見つけたんだね。私が今日ケイタに伝えたかったのは、語学は「目的」ではなく、「道具」ということ。だから、学んでからが「スタート」。ケイタもやっとスタート地点に立ったところだけど、これからの目標は?

長井はい、せっかくイタリア語を使えるようになったから、仕事に活かしたいです。今何ができるか、考えています。

マヴィリオ歴史、文化、芸術、デザインと、イタリアはいろいろな分野で魅力が多い国。私自身、日本に来てから、イタリアのすばらしさに気づきました。イタリア語を学ぶことで、ケイタの可能性も広がったはずです。卒業生のなかには、イタリア語を学んだことがきっかけで、自分でビジネスを起こす人もいますよ。ケイタも、学んだイタリア語をぜひ自分の人生のために使ってください。

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語学を学ぶと、まだ知らない「世界」が開けます。

メディアだけでは知ることができない、本当の中国を体感しよう。

私のゼミは、「中国語の音声表現」がテーマ。自分の発音を再点検し、日本人特有の問題点を知ることから始め、朗読やスピーチの練習まで、理論と実践の両面から耳で聞いて美しい中国語の表現を追求するのが、私のゼミの目標です。

木村発音は、中国語を学ぶ上で最初の難関です。でも私が中国語に魅力を感じたのも、発音なんです。話していてもまるで歌っているようで、「なんてきれいな言葉なんだろう」って。1年次生の頃は、覚えた中国語をお風呂で暗唱していました。勉強すればするほど、目に見えて成果があらわれることが楽しくて。

木村さんは1年次生の時、暗唱大会に参加して、3位に入賞しましたね。

木村はい。あの暗唱大会は、私にとって大きなターニングポイントでした。中国語に自信がついて、3年次で中国の蘇州に1年間留学するきっかけになりました。

留学して、中国を肌で感じた感想は?

木村日本のメディアが伝える「中国」のイメージとは違うことも多かった気がします。中国の人は無愛想なイメージがありますが、やさしくて温かい人ばかり。例えば満員のバスで小学生や中学生がお年寄りを見ると真っ先に席を譲ろうとしたり、買い物に行くと店のおばさんが商売に関係なく「最近来なかったね」と気さくに声をかけてくれたり。中国の人は「自己中心的」とよく言われますが、それは自分に素直に生きている裏返しじゃないかと感じました。

私もはじめて中国に行ったとき、木村さんと同じような印象を持ちました。自分を型に押し込めなくていい、無理しなくていいよという中国が持つおおらかな雰囲気は魅力です。中国は、どんな人も受け入れてくれる「懐の深さ」があるような気がします。ところで、海外へ留学した学生はみんな、大きく成長しますね。目の前の問題について、自分の力で解決策を考え、行動する積極性が備わるようです。木村さんも留学してずいぶんと変わりましたね。1年間の留学で、どんな体験をしましたか?

木村実は、暗唱大会に味をしめて、中国でもいろいろな大会に出場しました。留学先の大学では、留学生向けの中国語スピーチコンテストに参加して2位になりました。でも、この時は2位でもすごく悔しかったです。また、中国人が参加するスピーチコンテストにも参加し、それが縁で学生以外の中国の方と知り合うことができ、人脈が広がりました。

スピーチコンテストは、中国語の原稿を暗記し、表現方法を工夫した上で、文字に頼らず音声だけで表現するため、かなり自分を追い込んで練習しなければなりません。でも苦労した分、達成感も大きく、人前で話す楽しさを体感することができます。これまでも多くの学生が、スピーチコンテストで人生が変わっていますよ。

木村はい、私も中国語を学んだことで、そしてコンテストに参加したことで自分自身が変わりました。人前で話すなんて考えられない、人見知りな性格でしたが、卒業後は営業職につくことになりました。

何を隠そう、私もスピーチコンテストで人生が変わった一人。だから一人でも多くの学生に体験してほしいと考えています。そして、新しい世界を、まだ知らない自分を発見してほしいと思います。

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五感を使うことで見えてくる「世界」があります。

世界で最も広大な国、ロシアで豊かな文化に触れましょう。

佐野2年次に1カ月間、モスクワでのサマースクールに参加したとき、ロシアの人たちが祭日を心待ちにし、行事に大喜びしていた様子を見て驚きました。国民性の違いを目の当たりにして、「ロシアの祭日」をテーマの1つにされていた先生のゼミを選択しました。本当にロシアは祭日が多いですよね。

アンナ大昔から存在している祭日は、いわば人間文化が最初に形となったものです。祭日は労働から解放されます。自由な時間のなかで文化が育まれるのです。

佐野春学期に行った4カ月間の留学でも、それを肌で感じました。日本人は人生において働くことを重視しますが、ロシア人に聞いたら、給料よりも休日を重んじる人が大半。日本に比べて時間の流れがゆったりしていて、家族で過ごす時間をとても大切にしています。それに自国の文学や詩、歴史について、非常に詳しいことにも感心しました。日常的に古典詩を吟じたり冗談に使ったり、日本人とは全然違う。きらびやかなボリショイ劇場で、一流バレエ団の公演を見たときにも圧倒され、さまざまな場面で文化の豊かさを実感しました。

アンナ留学したことで日本とロシアの「文化比較」ができたようですね。日本の約45倍という世界一広大な領土には、100を優に超える民族が住んでいます。言語や習慣なども多種多様で、人々は自分たちの風習や伝統を大切にしています。ロシアは、ヨーロッパのなかで日本と国境を接している唯一の国。領土問題などによりネガティブなイメージを持たれがちですが、本来のロシア人はとても信心深く、陽気で情に厚い人たちです。

佐野確かにそうです。意外だったのは、親日家がとても多かったこと。街角で「私は日本人が大好きなの」なんて話しかけられることもあり、うれしかったです。留学当初は、ロシア人の性格がいまひとつ理解できず、いつもしかめっ面で、外国人が嫌いで、英語も話さない閉鎖的な人たちだと思っていました。だけどいざ知り合ってみると、彼らは勉強熱心で、あくなき探究心を持っています。そこからさらに興味が深まりました。

アンナロシア語が上達したこと以上に、考えが広くなったことがうれしいですね。言語は「道具」です。いくらきれいに磨いても、使わなければ単なるモノでしかありません。京都産業大学では、机上の語学ではなく、自分が学んでいる言語が話されている国に行き、言葉のシャワーを全身で受けることを推奨しています。さまざまな文化が混在する多民族国家で、多くの文化を知ることにより、日本の文化もより深く知ることができます。

佐野先生の授業は「体験」を重視されているので、親しみやすいです。語学の授業でも、手づくりのボルシチをふるまってくださったり、みんなでロシア民謡の「カリンカ」を歌って踊ったりもしましたよね。見聞きするだけより覚えやすいし、印象にも残ります。

アンナ「五感」を活性化させることは、「語感」を鍛えることに通じます。字面で学ぶのではなく、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚を使うことにより語学は上達します。物に触れ、味わい、匂うことにより語彙が増え、さまざまなシチュエーションでの運用能力が高まるのです。

佐野自分とは違う文化を持った人たちを理解することで、一辺倒な見方や考え方も改まりました。もっと多くの人と触れ合って、物事をいろいろな角度から多面的に見られるような人間になりたいと思います。

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あたりまえが通用しないのが「世界」です。

世界にはいろいろな文化や考え方がある。グローバル・マインドを磨こう。

エディインドネシアの魅力は、なんといっても200以上の民族を有する多民族・多文化の国であること。

大畑私は今、インドネシアの食文化について勉強しています。例えば、果物を調べると食文化、気候や言語も知ることができます。文化や歴史が食にどのような影響を与えているのかにも興味があります。

エディはい、豊かな食文化はインドネシアの良さですね。例えば、日本にない果物が、ジャックフルーツ。熟す前は野菜、熟したら果物として食べます。インドネシアには、経済発展が活発な都心部もあれば、未だ原始的な生活をしている少数民族もいます。インドネシアを通じて、世界にはいろいろな文化や考え方があることを学生のみなさんに伝えたい。日本のあたりまえが、世界では決してあたりまえではないということ、グローバル・マインドを紹介したいのです。ところで、大畑さん、インドネシア語は上達しましたか?

大畑もちろん勉強は大変ですが、言語自体は意外と難しくない点がいいですね。発音もローマ字読みに近いですから。

エディインドネシア語は、おそくとも8世紀には東南アジアの交易に使われていた言葉です。他の言語のように過去形もないため、私自身は「世界で一番簡単な言語」と思っています。

大畑実は、今度はじめてインドネシアに行くのですが、どれだけ自分のインドネシア語が通じるか試してみるつもりです。

エディそれは楽しみですね。フルーツもたくさん食べてきてください。ところで、そもそも、大畑さんがインドネシア語を学ぶと決めた理由は?

大畑高校時代、父の会社がインドネシアに工場を建てるのを知ったことがきっかけです。インドネシア語ができたら「父の会社に就職もできるな」という、本当に軽い気持ちでした。

エディなるほど。インドネシアは今まさに急成長を遂げ、まだまだ伸びしろがある国。先見の明がありましたね。インドネシアには1,200以上の日系企業があり、毎年インドネシア語ができる学生を紹介してほしいと、企業からの依頼も絶えません。

大畑先日、世界遺産に登録されている富士山でインドネシア語のできるアルバイトを求めているニュースを見ました。いつか日本の日常でもインドネシア語が必要とされるようになるんでしょうね。

エディ現在世界第4位の人口を有するインドネシアは、ある調査で2020年には世界3位の消費国になるという予測も出ています。大学でインドネシア語を第一言語として勉強できるところは日本で数校しかありませんから、日本はもちろん世界中の企業が私たちの大学に期待しているはずです。

大畑将来、私はインドネシア語を活かして接客業に就きたいと思っています。実は、インドネシアで働きたいという気持ちもわいてきています・・・。接客業は、お客様の気持ちを理解した上で成り立つ仕事。だから、言葉だけでなく、文化や国民性もしっかり学んでいきたいです。

エディ私の多くの教え子もインドネシアで働いています。日本に帰ってきても、なぜかまたインドネシアが恋しくなると言っていますよ。勢いがある国ですから、日本にはない刺激があるのでしょう。大畑さんも夢の実現に向けてがんばってください。

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「世界」を知ることは、自分を知ることです。

異国の地を訪れることで、自分のアイデンティティを再認識できます。

安田先生の授業では、ドイツ語を使ってオーディオやビデオのコンテンツを作成しています。この前制作したのが、夏の風物詩「花火」の楽しみ方について。伝えたいことがうまく表現できると面白いですね。

ヤスパゼン4年間、ドイツ語を教科書だけで学ぶのは面白くありません。学んだ言葉を自分で使う。しかも、楽しく使うことが、私の授業のテーマです。ところで、安田さんはドイツに留学していたんですね。

安田はい。約1年間、ドイツ北部の小さな街グライフスヴァルトに留学しました。

ヤスパゼンよく「日本人とドイツ人は似ている」と言われます。でも、実際はどうでしたか?全然似てないでしょう。ドイツ人は、決して悪気があるわけではなく、ストレートに自分の意見を伝えます。日本人は、もっと相手に気を遣いますよね。他にも、日本はサービス業の王国。でも、ドイツの従業員はあまり親切とは言えません。

安田私は、忙しい日本人と比べて時間の過ごし方が素敵だなと思いました。ドイツの日曜日は、店もお休み。友人の家に行くと、休日はゆっくりご飯を食べ、家族みんなで会話する時間を大切にしていたのが印象的でした。

ヤスパゼン国境に対する概念も大きく違います。かつてドイツにいた頃は、「今日は家族でオランダに出かけよう」というのはあたりまえ。国境を越えることは、ドイツ人にとって日常の出来事です。でも日本は島国なので、そうはいきません。だから、現在のグローバル社会で、日本人は外国人との関係を構築する術を磨く必要があります。まずは言語。さらに考え方や価値観、文化、政治、経済の面で他国について勉強し、実際に海を越えると自分の世界も広がります。

安田はい、ドイツの歴史を勉強し、留学して世界も広がりました。でも逆に私は日本についてもっと知る必要があると感じました。

ヤスパゼンWeggehen um anzukommenというドイツ語の言葉があります。自らに還るために旅をする。つまり、他国を知ることは、自国を知ること。異文化のなかで自分のアイデンティティを再認識することができます。

安田私は授業で日本の「落語」について発表したのですが、外国のみんなに「珍しい文化」だと逆に教えてもらい、新しい発見がありました。外から日本を見ることで、日本の良い面にもたくさん気づくことができたと思います。

ヤスパゼンなるほど。他にも、留学で得たものはありますか?

安田行動力ですね。今までできなかったことにも挑戦してみようというチャレンジ精神がついた気がします。ドイツで何とかコミュニケーションをとりたいと奮闘した日々があったからかもしれません。とにかく自分から動かなければ、人間関係も築けないので…。

ヤスパゼン海外へ行き、外国人と接することで、自分の殻を破ったんですね。語学を学ぶこと、そして異文化に触れることは「可能性」だと思います。今までとは違う、新しい自分に出会えるのですから。

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 自分の「世界」を深めると、人生が豊かになります。

フランスを知ることから、自分の興味を広げましょう。

福田フランスの料理を中心に、歴史や文化、パリの街ネタなど、先生の授業は、毎回テーマが様々でとても楽しみです。この前授業で教えてくださったフランス料理のレシピ、実際に家でつくってみました。すごく美味しかったですよ。

ゴンティエそれは、うれしいわ。授業でみなさんにお伝えしているのは、私のオリジナルレシピです。フランス料理は、ユネスコの世界遺産に登録されているって知っていましたか?それに、地方料理もそれぞれに個性があり、実にバラエティ豊かです。私が授業でみなさんに料理を教えるのには理由があります。まずひとつは、楽しく語学が勉強できるからです。

福田はい。興味が持ちやすいし、授業に引き込まれます。料理なら、単語も自然と頭に入ってきます。

ゴンティエそれに料理は、様々な分野とつながっています。例えば、フランス料理に大きな影響を持つのが、カトリーヌ・ド・メディシスという王妃。ルネサンス期にイタリアから嫁いだ彼女が、フランスにナイフとフォークを持ち込むなど、美食と称えられる現在のフランス料理の礎を築いたのです。このひとつを取り上げても、文化や慣習、歴史などフランス全般を学ぶのに最適でしょう。

福田私は、フランスのマナーや礼儀作法が興味深かったです。レディファーストが徹底されていて、レストランに入るときも、食事が終わった後も、必ず男性がエスコートするのが素敵ですよね。

ゴンティエ日本とフランスでは慣習の違いが大きいですね。例えば日本はお酌を女性がする場面がありますが、フランスでは絶対にありません。これは、男性の役割。食事の途中でトイレや電話に席を立つこともマナー違反です。ところで、チサト(福田)は、実際にフランスに行きましたか?

福田はい、1年次の時に。きれいなパリの街を歩きまわり、ニースでのカーニバルも体験しました。現地の人々と会話ができたことや、美術館に行ってフランス語で絵画の説明を読めたことがうれしかったです。実際にフランスへ行くと、語学ももっと勉強したいなと意欲もわきました。

ゴンティエフランスには、また行ってみたい?

福田はい。今度はぜひ長期間滞在し、実際に暮らしてみたいです。だから先生の授業のひとつで、パリの街の建物やモニュメントから歴史をたどる授業はすごく面白いです。例えば、凱旋門の真下。第一次世界大戦で亡くなったひとりの名もなき戦士が収められた墓があり、それはフランスに命を捧げた多くの兵士を弔っていることを意味していると知りました。パリは、街を歩けば、歴史に縁ある地がたくさんあるんですね。

ゴンティエでは、これからも授業ではガイドブックに載っていない、パリの街の情報をいろいろと取り上げましょう。

福田はい、今度パリへ行く時のために。街歩きがもっと楽しくなります。

ゴンティエぜひ、フランスを通して、自分の興味、チサトの世界をもっと深めていってほしいと思います。それは、必ずこれからのあなたの人生を豊かにするはずです。

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 「違い」を知ることが、「世界」のはじまりです。

4億人とつながるツール、スペイン語は自分を広げるきっかけ。

ビセンテトシ(清板)は去年アルゼンチンに留学してたよね。ラテンアメリカを肌で感じた感想を教えてよ。

清板驚きの連続でした。先生が授業に平気で遅刻してきたり、バスは1時間以上こない、商店は2時から4時まで「昼寝で休み」と平気で書かれていたり…。

ビセンテ今、私のゼミでは南米アメリカの人権問題を学んでいるけれど、留学中にその部分で実感したことは?

清板南米アメリカには侵略された歴史があり、先住民や混血の方に対する差別が残っていることを知っていましたが、留学中にそういった人種問題を一切感じることがありませんでした。むしろ、共存していたという印象です。移民であるイタリア系のホストファミリーも、「自分はアルゼンチン人だ」という誇りを大切にしていました。

ビセンテ実際に現地で生活すると、本やインターネットでは得られない生きた情報に触れられるよね。そして、現地の生活に入り込むことで、その国の文化・生活の本質、根っこの部分を理解することができる。そうやって手に入れたその国独自の考え方・視点から「日本」や「自分」を見つめると新しい発見がある。「相手を知り、そして自分を知る」。自分たちの文化を改めて評価するきっかけにもなるよね。

清板アルゼンチン人のいい意味での自己中心性を理解するまでは、「自分が間違っているのか?」と悩んだりしてアイデンティティが大きく揺るがされました。これは価値観を再構築する良い出来事でした。

ビセンテ逆に、南米での生活を経験して日本に対する考え方は変わった?

清板改めて、日本は暮らしやすい国だと実感しました。現地の人々の生活を目の当たりにして、日本の技術を活かし、南米を含め様々な国の人々の生活環境の改善に貢献したいと思うようになりました。

ビセンテその思いがあったから、語学力や海外生活での経験を生かせる大手電機メーカーへの就職も決まったと思う。

清板南米は豪雨も多く、道路に水が溢れて交通機関が麻痺したり停電が起きるなど生活環境が劣悪です。海外営業を希望したのも、生活の支えになる仕事をしたいと感じたからです。残された学生生活では、どう貢献することが現地の人にとって良策かを、現地視点から学ぼうと思っています。

ビセンテ問題解決は、その国にとって最も良い方法でなければ後世に残っていかないですからね。現地の生活を体験し、現地視点で物事を見ることが大切だね。それに南米での生活で、トシの価値観や人間性も大きく広がったと思うよ。言語はツールであり、新しい自分と出会うきっかけ。スペイン語は世界約20カ国、4番目に多く話されている言語だからこそ、そのチャンスを大きく秘めているんです。

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 「世界」から見た「日本」を、知っていますか?

世界中の若い人たちの間で、日本語への関心が高まっています。

渡辺今、アニメやマンガといった日本のポップカルチャーが世界中で大人気。「日本語教育」の現場にいると、ポップカルチャーが火付け役になって日本語を学び始める若い外国人が急増しているのを実感します。アカイ(劉)さんも、まさしくその世代だと思うけど、日本に興味を持ったきっかけは?

高校生の時に『ワンピース』を知り、夢を持っていろいろな苦難を乗り越え、信じていることをやり抜く主人公ルフィの大ファンになりました。ちょうど自分の将来について考える時期で、アジアの中で最も発展している隣国日本に興味がわき、日本語を勉強して、日本の大学に留学したいと思いました。

渡辺実際に来てみると戸惑うことも多かったでしょう?

中国との違いを一番強く感じたのは、日本では決まりきった言葉を口にすることがとても多いということです。「大変恐縮ですが」「お手数ですが」「行ってきます」「すみません」「いただきます」「ごちそうさまでした」など、本当にたくさんあって、会話のほとんどがこうした言葉で埋まっている気がします。

渡辺ちょっと面倒くさいと感じた(笑)?

いいえ。ただ、どうしてなんだろうと不思議で、私なりに考えて二つの結論に達しました。一つは、日本は礼儀を重視する国なので、家庭や学校での教育で定着したのではないかということ。

もう一つは、日本人は他人と違うことをして目立つことを嫌うため、決まった言い方が好まれるのではないかということ。こんなことを考えていると、言葉を通じて日本の文化が学べることがわかってきて、楽しくなります。

渡辺それは、アカイさんにとって日本語が外国語であり、母語と比較対照することで双方を相対化できるからこそ見えてくる“気づき”ですね。そういうクッションワードとも言うべき決まりきった表現の裏に隠れた日本人の国民性や心情に気づけば、同じ気持ちでクッションワードを使いこなして円滑に周囲と交流していくことができるでしょう? 私は日本語教師を目指す日本人学生にいつも、外国語の習得や留学生との交流を通じて、日本語を一歩引いた視点から比較分析する力を養うように言っています。

渡辺人は、互いの言語や文化の違いを深く知ることによって、対話を噛み合わせ、長所を学び合い、さまざまな問題を解決していくことができるのだから。

私には、今後日本の大学院で日中の災害報道の比較分析研究を行い、防災や危機管理におけるメディアの役割を考えて中国の災害報道の改善に活かしたいという夢があります。そして、日本と中国、両方の文化をより深く知り、両国の架け橋になれればすばらしいと思っています。

渡辺そんなふうに日本に目を向けてくれる人々のためにも、日本語教育の課題を掘り下げ、情報を発信していかないと。そして、日本の若い人たちにも、日本語と日本文化を学び、世界に広めることの楽しさを、もっともっと伝えていきたいですね。

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隣国は、「世界」への最も身近な扉です。

清楚な着物美人が優しく語りかける。その開いた口を見ると、何と歯がまっ黒!だれでもビックリですね。でも、江戸時代の日本では、歯を黒く染めるのが既婚女性のたしなみでした。「朝鮮通信使」の見聞録には、こうした未知の風習に出合った驚きなども、イキイキと記されています。

日本は、鎖国していた江戸時代にも、朝鮮、琉球、オランダとは交渉を保ち続けてきました。このうち、琉球は薩摩藩の服属国とみなし、オランダは通商を認めただけでしたが、朝鮮とは唯一、正式に国交を結んでいたのです。そして、およそ200年の間に12回、新将軍の就任などの祝賀使節として「朝鮮通信使」を迎え入れています。毎回300名以上もの使節団が対馬から瀬戸内海を経由して京都に上陸、陸路で江戸に赴き、同じ道を帰るという大がかりなもので、両国ともこれに大変な熱意と労力を注ぎました。幕府にとっては、威光を誇示するとともに大名たちに接待を命じて財力を弱めること、朝鮮にとっては日本の内情を探ることという“裏の目的”もありました。しかし、何よりも相互理解が深まるという点で、大きな価値のあるイベントでした。

私は、この「朝鮮通信使」に随行する通訳官を養成するための日本語教本や通信使が遺した見聞録などを通じて、江戸時代の日本の言葉や文化の変化を考察したり、韓国語と日本語の比較研究を行ったりしています。母国で言語学と文学を学び、日本に留学して古都京都で研究を続けるうちに、日本はもちろん、母国の言葉や文化も一層味わい深く感じ取れるようになりました。大国中国の影響下にあった両国は、言語においても文化においても多くのものを共有しています。また、異なる部分からは互いの個性を読み取ることができます。相手を知ることが自らを知ることにつながるため、どこまでいっても興味が尽きません。

両国の長い交流の歴史を一人でも多くの人と共に受け継いでいきたい。これが今の私の願いです。韓国語は日本語と語順が似ていて漢字も共通しているため、日本人にとって学びやすい言語です。外国語に苦手意識がある学生でも、私の韓国語講義で大きく伸びた学生が大勢います。卒業後、韓国で就職し、世界に目を向け、広い視野に立った心豊かな人生を歩み始めた先輩たちもいます。あなたもぜひ韓国語を学び、韓国へ、そして世界へと、大きく活躍の場を広げてください。

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さあ、音楽から「世界」を語りましょう。

ひとりのアーティスト、ひとつの曲から、その国の文化や社会が見えてくる!

角間私は先生の授業を受けて、音楽が「聞く」だけのものではなく、その国の文化や価値観、さらには社会問題と関わっていることを知りました。

アマンダそうですね。11〜12世紀のヨーロッパでは、宗教上の理由などもあり、女性が音楽をつくることは禁止されていました。19世紀も「女性は家庭で仕事をするもの」という既成概念から、音楽を仕事にする女性は結婚できなかった。1950年代ですらロックスターの多くは男性でした。ひとつ例を挙げるだけでも、音楽を通じて、女性の活動が制限されていたという歴史が見えてきます。

角間実は先生の授業で、戦後のアメリカの大スター、エルヴィス・プレスリーをはじめて知り、大ファンになりました。白人である彼は、黒人のような歌と踊りのパフォーマンスで、人種を超えてアメリカ国民の絶大な人気を得ました。なぜ彼が黒人のように歌えるのか?その背景を調べると、貧困な南部の家庭に生まれた生い立ちがあったんです。ブルースやゴスペルなどの黒人音楽が自然と耳に入ってきた環境で育ったことが影響していました。ひとりのアーティストの人生から、アメリカの黒人問題なども見えてきたのが、すごく面白かったです。

アマンダそう言ってもらえるとうれしいわ。私の授業では邦楽と洋楽を比較することも多いですが、今の女性アーティストを見ても、国によってスタイルが違うでしょう。

角間たとえば、AKB48とビヨンセを比較しても、「日本=かわいらしさ」、「アメリカ=セクシー」が求められますよね。

アマンダK-POPの女性グループも、日本のAKB48などとは、売り方が全く違います。それは、国によって「男性が求める女性像」が違うからです。「the male gaze(男性の目線)」が意識されているということです。

角間なるほど、国による違いが見えて面白いですね。でも一方でカナダに1年間留学したときは、国や言語は違ってもみんな同じ人間で、同じ感情を持ち、同じ考えを持っていることにも気づきました。

アマンダ同感です。角間さんのように、外国語を理解して、海外のいろいろな文化に触れると、自分の世界観が豊かになりますね。今はYouTubeなどで、世界中の音楽が簡単に手に入ります。でも、授業で私が一番伝えたいのは、どんなメッセージが隠されているのか、「深く考えること」。ひとりのアーティスト、ひとつの曲を深く知ることで、世界が見えてくるんです。

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