今、注目の「クール・ジャパン」は日本文化の結晶

世界に愛される「クール・ジャパン」。その注目度はホンモノだった!

若松日本のサブカルチャーは今、「クール・ジャパン」と呼ばれて、海外からも注目を浴びているね。

中村私自身、アニメやマンガが大好きだったので、日本のサブカルチャーの海外進出を共同研究のテーマにされていた先生のゼミを志望しました。ですが、各ゼミ生の扱う研究テーマが多種多様で刺激を受けています。

若松みんな、アニメやマンガに限らず、音楽だったり食だったりファッションだったりと、いろんな切り口で研究に取り組んでいるよね。

中村私の共同研究のメンバーには、フランスに留学経験がある学生もいました。フランスで日本のキャラクターの名前を出したらみんな知っていたとか、お店にグッズが並んでいたとか、経験談も聞けて参考になりました。異なる地域の文化を学び体験した人と一緒に研究することで、日本文化の新たな一面に気付けるのも、ゼミの良さだと思います。

アニメの壮大なシーンに通じる演出が歌舞伎の舞台でも使われていた。

若松そこから、クール・ジャパンのルーツを江戸文化に探ろうとしたのは、どうしてだったの?

中村「オタク」がいつから日本に根付いていたのかを調べていくなかで、江戸の職人文化が今のオタク文化につながっている、といった記述があり、驚いたのがきっかけです。また、2年次の講義で江戸時代の文化に触れていたこともあって、掘り下げてみることにしました。

若松江戸時代には、ものを集めて自慢したがるコレクターみたいな人たちもいました。作り手側だけじゃなく、受け手側にもつながる部分があるかもしれないよね。

中村歌舞伎のキャラクターが、かんざしやてぬぐいなどに商品化さ れて、ファンが買い求めた構図も、今のアニメやマンガと同じですよね。

中村内容の面でも、例えば舞台上の建物が一瞬にして崩れ落ちる「屋台くずし」の演出は、アニメのラストシーンなどにも見られるなど、さまざまな面で今日のアニメに通ずるものがありました。

若松今の日本文化を出発点にしながらも、中村さんのように起源を遡る人もいれば、同じ時代で地域的な展開を研究する学生もいる。参考になる発表はほかにもあった?

中村はい。扱う時代や意味の違いをあらためて感じたという点で、原宿のファッション文化の発表は、参考になりました。

儚いものを愛でる「かわいい」は現代の「萌え」とつながる!?

若松具体的に聞こうかな。

中村「かわいい」の語源は「かわいそう」、つまり保護したくなる美を指していて、そこから派生したキュンとする感覚が、アニメファンが使う「萌え」につながっているのではないかと推察しています。しかし一方、原宿系の派手な色合いも世界的に「kawaii」と評されています。同じ「かわいい」でも、一括りにはできないなと考えさせられました。

若松捉え方によって、いろんな説が立てられるからね。

中村ただ、「萌え」には、儚く消え去ってしまうような、自然に対する日本人独特の美意識があるんじゃないかと考えています。

若松確かに日本人的な感覚のなかに「自然との共生」があるから、その関連を重視するのは面白い発想だね。卒業研究をまとめるときは、独自の着眼点でオリジナリティを出しながら、自分なりの感覚を大切にしてほしいと思っています。

中村歌舞伎の舞台演出などからの影響についても、今の段階では文献で見ているだけなので、実際に自分の目で見て感じたことも織り交ぜて、卒業研究を完成させたいと思います。

若松実際に歌舞伎も見にいくことができるからね。京都という恵まれた環境で学べるんだから、机上の学習にとどまらず、今に伝わる文化を体感すれば、また新たな発見ができると思うよ。

文化学部教授 若松正志
文化学部教授 若松正志
「自然との共生」は今の日本文化につながる日本人的な感覚だね。
文化学部国際文化学科4年 中村由佳さん
文化学部国際文化学科4年 中村由佳さん
江戸時代の職人文化が今のオタク文化に受け継がれていました。
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