天文学講座 第3回「小型屈折補償光学装置(CRAO)の開発」を開催

2015.10.24

 10月24日に神山天文台 天文学講座として藤代 尚文専門員による講演「小型屈折補償光学装置(CRAO)の開発」が行われ、約20人が参加した。

 地上から天体観測をすると、天体から届く光は、地球の空気の中を通って来る。しかし、空気のかたまりごとに温度が少しずつ異なるため、そのかたまりを通る光の速さや曲がりやすさは若干異なる。これが原因で、望遠鏡で集めた星の像がゆらいでしまうのが「大気ゆらぎ」であることを、藤代専門員はわかりやすく解説した。

 補償光学装置では、望遠鏡が集めた天体からの光を受け取り、大気ゆらぎによる光の乱れを波面センサーで測定し、鏡を変形させたり傾けたりしながら、光の乱れを補正する。この装置は、通常は非常に大きく高価だが、藤代専門員らは、鏡を使って光を集める代わりに、ダブルパスレンズと呼ばれる特殊なレンズを使うことで小型化し、非常に安価に製作することに成功した。

 講座の後半では、小型補償光学装置を目の前で動かし、白色LED光源で作った疑似的な星像が小さくなることを、参加者全員で確認した。手作りの装置を見せながら丁寧に説明されたので、参加者から多くの質問が出て盛り上がった。

 講座後にはアストロノミー・カフェが行われ、藤代専門員と神山天文台のスタッフと学生が各テーブルを回り、天文談義に花を咲かせた。大半の参加者は夜の天体観望会にも参加され、実際の星も堪能された。


※補償光学装置:大気の揺らぎによって発生する星の像の乱れを補正する装置。神山天文台では世界でも通用する小型で安価な装置を藤代専門員が中心となって開発している。
講演の様子 
藤代専門員より補償光学装置についてわかりやすく説明がされた
補償光学装置を実際に稼働させる様子
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