京都文化学科開設記念シンポジウム「日本の美 こころとかたち 〜琳派400年記念〜」開催

2015.06.13

 6月13日、彬子女王殿下をお迎えし、京都産業大学文化学部京都文化学科開設記念シンポジウム「日本の美 こころとかたち 〜琳派400年記念〜」が本学むすびわざ館ホールで開催され、満員の380人が参加した。

 第1部では、今年4月に本学日本文化研究所の専任研究員に就任された彬子女王殿下が、「英国と日本美術」と題して基調講演を行った。彬子女王殿下は、学習院大学卒業後、英国オックスフォード大学マートン・コレッジに留学して博士号を取得。大英博物館が所蔵する日本美術品を研究するうち、明治期の日本で海軍の医学教授として勤務しながら日本の美術品を幅広く収集したウィリアム・アンダーソンに着目し、彼が約6年間、日本滞在中に収集した3,000点以上にのぼるアンダーソン・コレクションを研究された。彬子女王殿下によれば、アンダーソンの業績は、明治の日本でまだ美術という概念がなかった時代に、浮世絵、狩野派等の日本の絵画を、西洋美術と同じ枠組みの中でとらえ、日本美術史を初めて構築した点にあると指摘。外国人の見た日本美術という未開拓の分野を研究する魅力をジョークをまじえながらわかりやすく解説された。

 第2部のパネルディスカッションは、彬子女王殿下のほか、京都精華大学 佐藤 敬二教授、本学京都文化学科 下出 祐太郎教授、本学京都文化学科主任で日本文化研究所長の小林 一彦教授の3人がパネリストとして登壇し、コーディネーターを務める京都文化学科 吉澤 健吉教授により進行した。パネリストの3人は、それぞれの専門分野である、デザイン、工芸、古典文学の視点から琳派の美について語り、琳派との関連について興味深い話が相次いだ。琳派の創始者とされる本阿弥光悦の鷹峯拝領は、徳川 家康による本阿弥一族の洛外への追放説を取る下出教授と、優遇説を取る佐藤教授との臨場感あふれる論争などもあり、聴衆を沸かせた。また、彬子女王殿下やコーディネーターの吉澤教授からユーモア溢れる合いの手も入り、会場からたびたび笑いの渦が起こる楽しいシンポジウムとなった。
基調講演をする彬子女王殿下
ユニークな論を展開するパネリスト
彬子女王殿下も和やかに発言された
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