京都文化学科開設記念シンポジウム「和食文化を世界に─世界無形文化遺産登録記念」開催

2014.12.22

 12月22日、2015年度の文化学部京都文化学科開設を記念したシンポジウム「和食文化を世界に—世界無形文化遺産登録記念」を開催した。ユネスコ日本政府代表部 門司 健次郎特命全権大使が基調講演を、評論家・徳島文理大学大学院 八幡 和郎教授が講演を行った。

 門司特命全権大使は基調講演「ユネスコ無形文化遺産—ソフトパワーとしての和食」で、無形文化遺産条約の成立に日本が果たした役割に触れ、現在パリに約500軒の日本料理店があるという状況は、世界的な和食ブームを示しており、日本の魅力や考え方、ありのままの日本を発信する、経済力や軍事力ではないソフトパワーとしての和食の重要性を強調した。

 八幡教授は講演「京都らしさとは何か—千年の都にしかないもの」で、京都学の意義を、量ではなく質を大切にする京都の知恵を言葉にすることにあると述べ、若者が京都文化を学ぶことの意味は、日本が生き残っていくための知恵の宝庫である「京都」をシステマティックに探究して生み出されるものを明らかにすることころにあると説いた。

 パネルディスカッションでは「和食文化を世界に」をテーマに門司特命全権大使、月桂冠株式会社取締役・総合研究所長兼醸造部長 秦 洋二さん、料理研究家 大原 千鶴さん、京料理「六盛」三代目当主 堀場 弘之さんに、文化学部 若松 正志学部長を加え、文化学部教授・日本文化研究所 小林 一彦所長の司会進行により行われた。若松学部長が山羊乳を煮詰めた「蘇(ソ)」を和食の起源の一例として挙げ、京料理の源流を探る堀場さんが復元した1116年の王朝料理「大臣大饗」や、大原さんの「ハレ」の料理に対する毎日の「ケ」の食事である「京のおばんざい」など、興味深い話題が続いた。門司特命全権大使は1975年頃フランス料理に影響を与えていた日本料理が、現在はパリのレストランのメニューに直接載っていると、和食の国際化を指摘し、秦さんは「和食、日本酒の良さを、胸を張って世界に伝えていきたい」と結んだ。

 参加者は600人を超え、和食への関心の高さが伺えるシンポジウムとなった。
無形文化遺産条約成立までの経緯などを紹介する門司特命全権大使
京都らしさとは何かを語る八幡教授
パネルディスカッションでは和食の様々な姿や魅力が紹介された
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