「京都産業大学 大学院法学研究科 法政策学専攻開設記念シンポジウム2」開催報告

2013.11.10

 11月10日、キャンパスプラザ京都において、「『市民性(シチズンシップ)』を育むために—京都産業大学大学院法学研究科 法政策学専攻 開設記念シンポジウム2」が開催された。当日は、一般、来賓、本学学生および本学附属高校生を含め、100人を超える来聴者が参加した。

 シンポジウムの第1部では「市民に求められる政治的リテラシーとは」と題して、法学部 足立 幸男教授が基調講演を行った。イギリスにおいてシチズンシップ教育が注目されるようになった背景や、シチズンシップ教育の導入において大きな影響を与えた諮問委員会による報告「クリック・レポート」についての紹介がなされた後、日本では「社会参加」の要素は強調されることがあっても、重要な要素である「政治的リテラシー」について十分な取り組みがなされていない傾向があることが指摘された。そして、民主主義社会の市民に求められる政治的リテラシー(資質・能力)について、システミックな思考、公共的決定の当事者であるという自覚と能力、自らの主張を説得力ある方法で提示する議論力の3点にまとめて提示がされた。

 続く第2部では、宝酒造株式会社環境広報部長の木下勝仁氏からは、宝酒造が10年間にわたり実施している「田んぼの学校」プロジェクトの実践事例について、続いて高槻市立芝谷中学校長で日本ボーイスカウト高槻第6団団委員の上道小太郎氏からは、学校教育と家庭教育、そして地域・社会教育とボーイスカウトなどの「ノンフォーマル教育」の意義と活動内容について、最後に大阪樟蔭女子大学学長の徳永正直氏からは、道徳教育と市民性教育の関係、タクトとの関係について、それぞれ話題提供がなされた。その後、足立教授を加えた4人のパネリストが、法学部の中井歩准教授のコーディネートにより、パネルディスカッションを行った。

 会場からは学生、高校生を含めて多くの質問が寄せられ、市民性を育むために必要な要素や留意するべき課題について、活発な議論がなされた。最後に、パネリストからそれぞれ「市民性」の育成を継続していくために必要なことについて指摘がなされ、盛況のうちに終了した。
2013年4月の大学院 法学研究科 法政策学専攻(修士課程)解説を記念して行われたシンポジウム
地域社会の一員として主体的な役割を果たしていく「市民」をどのように育成していけばよいか議論された
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