リエゾンオフィス主催シンポジウム「細胞内の情報から医療における個人情報へ」開催

2013.06.29

 6月29日(土)京都産業大学むすびわざ館において、創立50周年記念事業 リエゾンオフィス主催シンポジウム「細胞内の情報から医療における個人情報へ」が開催され、一般の聴講者や高校生など約290人が参加した。

 シンポジウムは、第一部 吉田 賢右 総合生命科学部教授の講演「遺伝子からタンパク質へ ヒモを形にしてみよう!」、第二部 永田 和宏 総合生命科学部教授の講演「タンパク質の形が壊れると病気になるってホント?」、第三部 中山 茂樹 法務研究科教授の講演「医療の発展はプライバシーを侵害するのだろうか?」の三部構成で行われ、その後3人の講師への質疑応答が行われた。

 第一部では、タンパク質の正しい折りたたみを助ける「シャペロン」の研究に先進的に取り組む吉田教授が、「一人ひとりの遺伝子が違うので、薬の投与量も人によって適量が違う。病気のリスクを予測することは、遺伝子解析によりある程度は可能となるが、一方で、同じ遺伝子を持ちながら発症しない場合もあり、遺伝子の研究だけでなく、環境要因の研究も重要になってくる」と語った。

 第二部では永田教授が、「アルツハイマー病やBSEなどの神経変性疾患は、タンパク質の品質管理が破たんした場合に起こるが、研究が進むにつれ、神経細胞を殺す異常タンパク質や良性のタンパク質を悪性に変える『伝播型のタンパク質』による感染症などの存在が明らかになるなど、まだまだ解明できていないことがたくさんある」と語った。

 第三部の中山教授は、「医科学の進展によって再検討され平成25年に行われた匿名化に関する法改正の事例を紹介し、情報の利活用なくして医療の発展はないが、ゲノム情報につきまとう諸問題、今後の利活用と適切なプライバシー保護はこれからの大きな課題だ」と語った。 

 それぞれの講演を熱心に聴いていた参加者からは「遺伝子から法律へと繋がるなんて学問は面白い」、「難しいテーマでしたが、分かり易かったです」などの感想がある一方で、「講演時間が短かかった。もっと話を聞きたかった。」という声が多く寄せられテーマへの関心の高さがうかがえた。
人間の祖先についての解明と驚きを語る吉田教授
質疑応答ではユーモアを交えながら分りやすく解説
パネルディスカッションを進行する今井リエゾンオフィス長
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