Letters

成功を志す。成勝園 平尾成志

PROFILE

盆栽師 平尾 成志さん [ 2003年 経営学部 卒 ]
1981年生まれ、徳島県出身。在学中に訪れた東福寺の方丈庭園に感銘を受け、日本文化の継承を志す。卒業後、さいたま市の加藤蔓青園に弟子入りし、師匠からの言葉「盆栽を国内外問わずいろんな人に伝えられる人間になってくれ」を胸に、海外でも盆栽のパフォーマンスなどを行う。盆栽の可能性を信じ、文化の継承と次代を担う人材の育成や制度づくりにも力を入れている。

瀬戸内海の12の島と2つの港を舞台に開催される現代アートの祭典 3年に一度開催される「瀬戸内国際芸術祭2019」に平尾さんの作品が展示中!11月4日[月]まで開催

最初は嫌だった大学生活変わった世界

高校駅伝の徳島県大会で優勝したことがきっかけとなり、京都産業大学陸上競技部への入部を決めました。1月の全国駅伝が終わってから参加した大学の合宿では、陸上競技部の厳しさを骨の髄まで思い知りました。陸上競技部伝統の雑草魂は、高校生の想像をはるかに超えたレベルでした。入学後、1年次生のときは嫌々ながらも練習をこなすのが精一杯、故障やケガも多く授業に出る余裕などありませんでした。そんな中、田舎から出てきた祖母と一緒に訪れた東福寺の庭が自分を変えました。庭を目にした瞬間、目の前の空間に引き寄せられ、気持ちが浄化されていくのがわかったのです。決して広くない庭なのに、何とも不思議な奥行きと深さを与えた庭師・重森三玲の技に魅せられました。改めて自分を振り返ると、中途半端に一体何をやっているんだと思い、そこから気持ちを切り替えました。陸上も学業にも「馬鹿になって」全力で取り組む覚悟を決め、生活態度を一変したのです。毎日必ず授業に出席し、練習も休まず一切手抜きなしで頑張りました。その結果、1年次終了時にはあまり単位を取れていなかったものの、無事に卒業でき、陸上も最後までやりきりました。4年間で僕の人生は明らかに変わった。京都産業大学に入学して本当に良かったと思います。

盆栽の修業に入り自分の使命を悟る

卒業後は最初、庭師を目指しましたが、縁あって盆栽の世界に入ることになりました。今度は5年間の修業です。とはいえ陸上競技部での日々を思えば、朝8時から夕方5時までの仕事などまったく苦になりませんでした。そして、修業1年目の終わりが近づいたある日、ふと気づきました。自分に残された時間は、あと4年しかない。ところが盆栽師として独り立ちするために学ばなければならないことが山ほどある。そこで再び「馬鹿になって」盆栽一筋に打ち込むことにしました。毎朝、仕事場に誰よりも早く来て、みんなが帰るまで仕事に打ち込む。ちっぽけな自分の欲などすべて捨てて、全身全霊をかけて盆栽と向き合うと決めたのです。全力で取り組めば、毎日必ず何か発見があります。なぜなら盆栽は生きているからです。ただし彼らからは話しかけてくれないので、ひたすら自分で観察するしかない。そのうち木がいろいろと教えてくれるようになりました。修業を終え、盆栽の素晴らしさを世界に伝える取り組みを始めました。若い人を弟子に迎え、次の世代を担う人材の育成にも取り組んでいます。パフォーマンスするのは、盆栽の素晴らしさを一人でも多くの人にわかりやすく伝えるためです。自分の使命は、盆栽を継承すること。そのためには人を育てなければなりません。盆栽師こそ天職であり、継承者を育てるのが自分の天命なのです。

平尾さんからひとこと!

挑戦に踏み出す
ための、合言葉

馬鹿になれ!!

一生付き合える
仲間を見つけよう

勉強はもちろん大切だし、就職もその後の人生にとって大きな意味があります。けれども、それだけが学生生活じゃない。大学時代の4年間は、思い切り遊ぶことが許される時間でもあるのです。スマホばかりいじっていないで、リアルに真剣に遊んでほしい。大学時代に一生懸命に遊んだ相手は、一生の友だちになります。「Stay hungry, Stay foolish」、スティーブ・ジョブズが言ったように、本気で馬鹿になれる仲間を見つけてください。

馬鹿をなれる仲間を見つけよう

vol.85 サギタリウス 2019年10月11日発行

サギタリウスに載りたい人募集!京都産業大学 広報部までお問い合わせください。E-mail:ksu-sag@star.kyoto-su.ac.jp TEL:075-705-1411

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