株式会社ウエダ本社 代表取締役 社長 岡村 充泰さん × 山田 幸代さん対談

※所属・肩書は取材時のものです。(2014年3月)
むすびわざStory第8回は、オフィスの働く環境を創造されている「株式会社ウエダ本社」の代表取締役社長で本学卒業生の岡村充泰さんに話を伺いました。

岡村社長は学生を巻き込んだ取り組みをされていますが、その理由について教えてください。

様々な理由がありますが、ひとつは私の独立創業した経験を、学生の役に立てたいと思っているためです。学生とはNPO活動やイベントを通して関わることが 多いのですが、学生の思いがどれだけ崇高で、素晴らしい活動をしていても、マネジメントが上手くいかなくて続かなかったら世の中の役には立てない。そのよ うな時に、私に何か助けになれることがあって、彼らの足りないところに少し協力するだけで、世の中の課題が解決できるようなことがあれば嬉しいと思ってい ます。

今の学生は、私たちの年代のように野心を持ってギラギラしている人は少なく、優しい雰囲気で全然力が入っていないように感じるんですが、実は高い能力を 持っています。それも「日本を変えよう」みたいにしゃかりきに力んでいるわけじゃなくて、普通の感覚ですごいことをやっています。そういう姿を見ている と、その可能性と価値観が違う経済界の方々とつなげられたらおもしろいことができるのではないかと考えています。

お仕事に対してどのような、ポリシーをお持ちですか?


「お客様スタンス」というか、自分のお客さんには儲けてもらおう、良くなってもらおうと思っています。それが自分の仕事だと思っています。

『三方よし』という言葉がありますが、それを実現するのは、とても難しい。お客様を儲けさせようと思えば、自分の身を切る。しかしそれでは、サラリーマン 的には怒られる。だから仕入先をたたいて泣かせる。これだと二方しか喜ばない。お客様も自分も仕入先も喜ぶようにするには、工夫が必要になります。

例えば、山田さんがティカップを欲しがっているとしましょう。山田さん、私、カップメーカーの三方を喜ばせようとすれば、どのようにすればいいでしょう か。山田さんはカップを欲しがっているけれど、希望を聞いてみるとカップでなくてもいいのではないかと考えて代替案を提案する。その本質は本当にお客様の ことを理解しているからこそわかるものなんです。それを見出して、メーカーに話を持っていくと、そのメーカーができなかったものも、自分が関わることで成 り立たせることができる。そういうことができると“存在意義”“存在価値”が生まれます。私がいることによってメーカーに喜んでもらえ、山田さんは本当に 欲しいものが手に入る。私は価格競争をしなくていいので、三方が喜ぶことになります。

今後の展望について教えてください。

私どもの名刺に『働く環境の総合商社』と入れています。単なる「事務機器屋」ではなく、“働く人のパフォーマンスを高める『働き方の変革』”をしたいと考えています。具体的には、オフィス空間の創造により、働く人のパフォーマンスを上げることです。 今後は少子高齢化社会を迎え、人口減少に伴い生産労働人口も減少していきます。そこで、これからの日本はグローバル化を推進し、海外に出て行くしかないといわれていますが、果たして本当にそうなのでしょうか。

今の日本は、働いている人のことをあまり考えられていない。必ず朝9時~17時まで会社に出社しなければならないような環境だから、女性や障がい者等、能 力が高いのに活躍できていない人がたくさんおられます。でも、働く環境を変え、改革できれば、人口が減ってもまだまだ日本は大丈夫だと思います。そこを変 えるのが、私の次のステージというか、何とかしていきたいところですね。

山田さんもそうじゃないかと思うんですが、課題が見えた時に、「何でこうなんだろう」と考え、「それを何とかしないと!」と思うんです(笑) 私の美学として、大きいことを成して、自分が死んだ後にそのことを語られる様な生き方をしたいと思っています。自分の子供が何かしようとした時に「お前の 親父はこういうことを成し遂げたんだ」と言われるようになりたいですね。そうなったら嬉しいし、大きな資産になります。

最後に学生へのメッセージをお願いします。

社会が若い人に、失敗を恐れさせ、失敗しないようにさせているように思います。若い人も失敗しないようにうまく形作ったり、体裁を整えるのがすごくうまいんですよね。でも、それはすごくやわくて、すぐボロボロになってしまうんです。

しかし、よく考えてもらいたい。嫌なこと、きついこと、辛いことがあった時に、そのシチュエーションはあなたに二度と来ないでしょうか。まったく同じでは ないかも知れないけれど、似たようなことは高い確率で起こります。それであれば、逃げたって仕方がないわけで、逆にそのような経験を先にした方がいいと思 います。一度経験したら、次起こった時にその経験が生きるでしょう。 若い社員にも思うんですが、特に学生さんには、「形がどうであれ失敗を恐れずやった 方がいい」と伝えたいですね。

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